茶の味


渋谷のシネマライズへ。
ネグリジェにくるまる孫を三角定規に見立てて歌を歌う。恋踊る気持ちで麦畑の中のあぜ道を自転車で突っ走る。秘密で逆上がりのトレーニングをする。自分の誕生日に自分の歌をCD化する。はぐれ舞踏家を拾って帰る。
やりたいことがやれる個人が確立した家族。それを見守る満開の桜や青々とした麦畑や満月。小さいけれどモヤモヤした悩みはゆっくりと時と自然の中でいやされて解決していく。
この映画がとても面白くて涙が出るほど美しいのは、夢や理想をそのまま映像化できたところにある。リアル感はディティールでのみ残しつつ、笑いで浮き世を離れさせ、夢の中を漂わせる監督の手腕は逸脱である。
とりあえず、「山よ」は暗唱したいところ。