おじいちゃんが来た


おじいちゃんはノスタルジーの固まりだ。


働き盛りにロボットの設計をしてたおじいちゃんは、もう最近はぼけてて昔のことしか思い出せないらしく、昔のままの感覚で、「親戚がやってたロボット開発に協力して特許のアイデアだしたいと考えてるねん」って言ってた。おじいちゃんはメーカーに入った私とロボットの話しがしたいらしく、「今もまだ××の研究してるんか?」と笑顔で問いかけてきた。私は正直に「最新技術に関わる仕事をもうまかせてもらえないんだ」とは答えられず、後ろめたい気持ちで「そんな感じのことやな」ってごまかした。おじいちゃんはにこにこしてたけど、私は大好きなおじいちゃんに正々堂々と「今は××つくってるねんで」といえないのはちょっと辛かった。涙が出そうになった。


おじいちゃんは私に、「結婚はまだか」「孫はまだか」とかは全く聞いてこない。ぼけてても聞くのは、技術とテクノロジーと仕事の話ばっかり。私はやっぱりこのおじいちゃんの血を引いてるのだなあ、と思った。


初めて新幹線が開通した年に、東京へ行って椿山荘で歌舞伎役者に間違えられた話が結構おもしろかった。